水曜日, 6月 21, 2006

6月21日麦刈りとBeGood Cafe

冬小麦(11月に蒔く麦)は、収穫が翌年の梅雨時に重なるので昔からお百姓さんの悩みの種でした。脱穀するためにはよく天日乾燥しなければいけません。しかも赤子の手も借りたい田植えの時期とも重なるからです。去年蒔いたアオバ小麦は、日照不足にもめげず順調に穂がつき、いい色になったと思ったら梅雨に入ってしまいました。アコちゃんの助けを借りて、一昨日昨日となんとか天気の具合を見計らって刈取りを済まし、ハーベスタで脱穀しようとしたら、実がまだ湿気っていて脱穀できません。それで急遽納屋に運び込み、梅雨明けまで待つことにしました。よほど雨が続かない限り黴びることはないでしょう。ひとまずこれで一安心。毎年小麦の収穫には苦労させられます。

それにしても、5月の長雨と日照時間不足は野菜や果樹の成育に予想以上のダメージを与えています。昨日ふと桃の木を見たら実がほとんど落ちていました。楽しみにしていたのにがっかり。トマト、きゅうり、茄など成長が止まってしまっています。いつもはものすごい勢いで蔓をのばしているはずのカボチャが今年はさっぱりです。それと、もうひとつ気になることがあります。ミツバチがいないのです。いったいどこに行ってしまったのでしょう。

先週は、オーストリアから911事件・100万ドルコンテストで有名なジミー・ウォルターがゲストで来ていたので、まったく田んぼは手が付かず、やっと月曜から苗とり・田植えを再開し、きょうほとんど完了のところまでこぎつけました。あとは、小さな苗床用の田が残っているだけです。

日曜日(18日)は、代官山のBeGood Cafeで2回目の「ワールドレポート」をやってきました。ダミアンが忙しいところをなんとか間に合わせて映像を作ってくれました。最初は、アメリカのメディアがいかにコントロールされているか、三大ネットワークのひとつNBCがGE(ジェネラル・エレクトリック)の子会社であることを参考に話しました。GEは世界最大の核兵器産業会社です。戦争で儲けているのです。当然アメリカのイラク戦争に批判的なニュースはあまり流さないでしょう。アメリカの地域はシンクレアという非常に保守的なテレビ放送会社が60もの放送局を独占して、政府よりのニュースを毎日流しています。ラジオはクリア・チャネルというこれも保守系の放送会社が1200もの地方局をコントロールしています。ニューヨークで100万人の反戦デモがあっても、国民には知らされないわけです。

そのような企業のメディア・コントロールに対して、草の根の市民メディアが大活躍しています。ニューヨークの古い消防署を改造した放送局から世界に毎朝1時間発信しているのがエイミー・グッドマンの「デモクラシーナウ」です。すべて一般市民からの寄付で経営しているので、主要メディアでは流れて来ない本当の情報を知ることができます。アメリカではケーブルテレビで放映されていて、日本ではインターネットで観られます。エイミー・グッドマンの仕事は想像を越える影響を世界に与えていると思います。日本でも早くできないでしょうか。

そして、もうひとりの人物の話題をとりあげました。いまラテンアメリカに民主化と統一の嵐が吹いています。その渦の中心がベネズエラ大統領ヒューゴ・チャベス です。ラテンアメリカはアメリカ合衆国の裏庭などと比喩されるほど、第二次大戦以降はアメリカの徹底的な支配下にありました。アメリカは武力と経済制裁を使って、民主的な政権やリーダーが現れるとつぶしてきました。CIAの秘密工作作戦です。いままでに何人もの政治家や活動家、宗教家たちがそのように暗殺や失脚させられ、民主化と独立の芽をつまれてきました。(このへんのことは「テロリストは誰?」に詳しく説明されています)チャベスが高い国民の支持を得て選挙で当選したときもアメリカはこれを阻止するために秘密工作を仕掛けましたが失敗しました。チャベスをこれまでに南米の英雄にしている背景には石油があります。ベネズエラは世界第三位の産油国でラテンアメリカ最大の石油輸出国なのです。チャベスは石油生産を国営化して、安くラテンアメリカ諸国に売っているのです。ガソリン高騰で困っているアメリカは石油輸入をベネズエラに多く依存しているので、あまりチャベスと敵対関係になるわけにはいきません。でも昨年8月、キリスト教原理主義者のパット・ロバートソンが「チャベスを暗殺するべきだ」と公言して物議をかもしました。ベネズエラの国営石油会社PDVSAはアメリカにCITGOというガソリンステーションを全米に経営していて、ほかのところよりも安くガソリンを売っています。また、チャベスはアメリカの貧しい人たちに灯油を破格の値段で提供するプログラムもやっていて、ブッシュ政権にとってはまったくいまいましい存在になっています。チャベスは公然とアメリカからの政治経済的な離脱と独立を提唱し、実際その影響でボリビア、ブラジル、ウルグゥアイ、ペルーなどどんどん社会主義的な政権がラテンアメリカに誕生してきています。アメリカの武力と経済制裁というふたつの力が効力を失いつつあるのは、なんといっても石油というファクターがあるからです。ラテンアメリカ最大の産油国ベネズエラはこれらの国々に安く石油を提供することで経済的に民主化独立の支援をしているのです。ただ、現在アメリカはかつてないほどラテンアメリカに軍事力を投入してきており、クレージーなブッシュ政権はなにをするかわからないので目が離せません。

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