火曜日, 5月 09, 2006

5月9日

3月に来日したアーネスト・スターングラス博士とローレン・モレさんの講演内容をウェッブにアップするため、翻訳などの準備をしているところです。グラフなどはコンピュータマスターのダミアンが手伝ってくれているので早々に完成することでしょう。さて、問題はもちろんその内容です。放射能の怖さはうすうす知っていましたが、ここまではっきりとデータを見せられるとまさに眼から鱗状態。正直言ってそれ以来ショックから立ち直れない毎日です。この問題をどう受け止めて行けばいいのか。何が私たちにできるのだろうか。これから生きて行くこどもたちにどんな未来を残せるのか。その問いを正面から突きつけられています。

参考に、ふたつの表をここに載せましょう。
表(1)

Hypothroidism JPG

これはアメリカの原子力発電所の稼働率と先天性甲状腺機能低下症との表です。左の縦軸は各年に新生児10万人のうち甲状腺障害を持って生まれてきた赤ちゃんの数(白丸)、右側の縦軸は原子力発電所の設備稼働率、つまり発電量(黒丸)です。1981年から2000年までのデータです。

表(2)

Strontium 90 JPG

原子力発電所から環境に放出されるいわゆる死の灰には核分裂生成物質がありますが、放射性元素ストロンチウム90はその代表的なもので、その原子組成がカルシウムと似ているために人間の骨に蓄積します。スターングラス博士たちのグループは長年にわたって幼児の乳歯を集めてそれに含まれるストロンチウム90の調査をしてきました。左縦軸が原子力発電所の稼働率(発電量=太線)、右縦軸が乳歯2,600本中のストロンチウム90の値(細線)です。

これを見て単なる偶然だと済ませるひとはよほど能天気(脳天気?)ではないでしょうか。

現代社会の混乱状態の原因に放射能の影響を指摘する人はまずいません。政府や原子力産業による徹底したPR作戦が功を奏して、原子力はクリーンだというイメージが人びとの頭にインプットされているからです。そして、それに反する声はことごとく押さえつけられていることもあります。糖尿病が放射能の影響であることは、放射線の専門家たちの間ではもう数十年前からの常識だったことを最近知りました。長年健康と病気について自然療法を研究してきた私にとっても非常にショックな話しです。私たちの親しい友人にも糖尿病に冒されインシュリン投与をしている人がいます。ジャパンタイムズの報道では国民のほぼ1割(約1,600万人)が患者である可能性があると言っています。こうなるともう国民病ですね。世界最長寿国で、世界に冠たる伝統健康食を有するこの国が、非健康食の代表と言われるアメリカの2倍の糖尿病を抱えていることなど、どうしてマスコミはいままで報道しないのでしょうか。医者は偏った食事とストレスが原因などど当たり障りの無い理由を繰り返しています。

スターングラス博士とモレさんの報告は、単にガンや糖尿病といった疾病にとどまらず、精神病や知能障害への影響も含んでいるのです。放射能の影響は年齢が若いほど顕著になりますから、もちろん胎児中にエックス線など浴びたら大変なことになるわけです。盛んに細胞分裂してからだが大きくなる成長期に放射能を浴びれば、当然それが異常増殖細胞などをつくりさまざまな病気の原因になるのです。最近問題になっている引きこもりや自閉症などの子どもたちの現象も、もちろん家庭や社会という社会環境の影響もあるでしょうが、放射能というファクター抜きには説明がつきません。

六ヶ所処理施設では3月以来、原子力発電所の1年分に相当する放射能を環境にばらまいていると言われています。単純に考えても、これは日本に原子力発電所が365カ所新しくできたことと同じになります。これだけでも十分ショッキングでありませんか。

スターングラス博士たちは、今必要なことは直ちに原子力発電所を止めさせること、そしてより安全で環境に優しい天然ガス発電にかえることだと主張しています。アメリカではすでにコネチカット州などで原子力から天然ガスに転換して稼働しているそうです。また、原子力発電所の設備をそのまま利用できるので、変換コストも大したことはないそうです。シベリアや樺太には天然ガスが大量に埋蔵されていると聞いていますから、エネルギー資源のない日本にはもってこいではないでしょうか。もちろん太陽光や風力などの自然エネルギー開発もどんどん進めていきましょう。

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